小説

「八日目の蝉」角田光代 感想

前半は誘拐した女の目線、後半は誘拐された子の目線の2部構成になっている 前半は追われている切迫感が伝わってきて息苦しい。 本当にあった事件のルポを読んでいるような感じだ 小豆島には1回言ったことがあるから、何となく風景が思い浮かぶ。とはいえ2…

「動物農場」ジョージ・オーウェル 感想

これでもかっていうくらい、わかりやすい寓話。でも陳腐ではない。ラストの豚が二本足で歩き出すところにゾッっとした スノーボールはどうなったんだろう。1984年と同じでスノーボールによる革命を期待しちゃうけれど、やっぱりそうはならない ジブリによる…

「青い城」モンゴメリ 感想

有名な赤毛のアンはまだ読んでいない 嫌な親戚たち、閉塞感から抜け出て好きなように過ごす主人公の言葉がとてもこぎみよい。スカっとする なんとかおじの謎かけが本当にイライラする。嫌な感じがすごすぎて、逆に笑いがこみあげてくるほどだ。現実にもそう…

「2001年宇宙の旅」アーサー・C・クラーク 感想

「幼年期の終わり」を読んだときも思ったけれど、クラークの文章はとても美しい。科学の美しさというか、昆虫標本とか天体観測したときに感じる美しさを感じる ずいぶん前に読んだサン・テグジュペリの「人間の大地」「夜間飛行」とかと同じ感覚だ 物理学と…

「緋色の研究」コナン・ドイル 感想

初めてのシャーロック・ホームズ。これがシリーズの第一作らしい。もしかしたら小学生のころにホームズの推理小説を読んだかもしれないが全く記憶にない ホームズはガリガリに痩せた長身で、なんだかイメージと違う。ワトソンは元軍医、これもイメージと違う…

「すばらしい新世界」オルダス・ハクスリー 感想

すごく面白いというわけでもなく、なかなかページが進まなかった。かといってつまらなくもなく、途中でやめる気にもならなかった ディストピア小説のはしり、らしい 人間が工業製品みたいに作られる。階級社会。差別社会。 嫌なことが全部なくなれば幸せかと…

「ポイズンドーター・ホリーマザー」湊かなえ 感想

短編集だった。はずれがなくどれも面白い 今まで読んだ、湊かなえの小説はどれもそうだったけれど、複数の人物が誰かに語りかけるような感じで書かれている。この人の視点からみるとこうだけど、別の人の視点からみるとこうなんだという違いを楽しむ感じ。ど…

半沢直樹シリーズ 感想

既刊4冊を読んだ いやまぁ、やっぱり普通に面白い 銀行の業務って個人だと、預金の引き出しとか振込とかしか知らなかったけれど、色々知れてよかった 与信、稟議書、当座、手形、小切手、不渡り、出向、不良債権、敵対的買収、ホワイトナイト、金融庁検査、…

「家康、江戸を建てる」門井慶喜 感想

家康とその家臣たちが未開の地である江戸を100万都市にしていく話。プロジェクトXのような。治水、造幣、上水、江戸城建築のプロジェクトごとに章が分かれている 文章がうまくないのに、これだけ面白い小説はない、という書評をみたけれど、文章がうまくな…

「七つの会議」池井戸潤 感想

半沢直樹で有名だけど、このひとの小説を読むのははじめてだ 映画やドラマの原作になっているだけあって、ひといきに読めるくらいおもしろかった まさにひと昔前のサラリーマンという感じ。僕が知らないだけで、世の中の大多数の会社はこんな感じなんだろう…

「ある男」平野啓一郎 感想

おもしろくて一晩で読んでしまった。前に同じ作者の何かを読んだときは、小難しくて読むのをやめてしまったが、これは読みやすかった ある男は本当は誰なのかを探す話。「本当」といっても妻は会って、結婚して、子どもも産んでいるので、本当も何もないのか…

「マチネの終わりに」平野啓一郎 感想

「ある男」がおもしろかったので、もう一冊手に取った 「ある男」ほどおもしろくなかった 2人がすれ違う箇所がまるでアンジャッシュのコントのようで、あまり現実的に思えなかった。 40代ってどんな年齢なんだろうな、と考えた。僕が10才のころは20才の自分…

「火星年代記」レイ・ブラッドベリ 感想

ブラッドベリの「華氏451度」がとても面白かったから、他のも読んでみたくなった 地球人が火星に到達し、破壊し、また地球に帰っていく。それを様々な人、エピソード、テーマからつづっていく。各章の人々にあまり関連性はない。一話完結で、だから火星年代…

「華氏451度」レイ・ブラッドベリ 感想

めちゃくちゃ面白い。言葉が僕の好みだ。頭の中に色や感覚が浮かんでくる文章が僕はとても好きなんだ。 1984年に感じが似ている。おかしな世界のなかで主人公と仲間だけがそのおかしさに気づく、ディストピアの感じが。そして上司に敵のような味方のようなや…

「Nのために」湊かなえ 感想

感想メモ かるい感じで読めるものが読みたくて、この本を呼んだ Nとはだれなのか?登場人物(西崎、希美、野口…etc)はみんな名前にNをもっている。 最初に登場人物それぞれが警察への証言という形で事件の概要を語る。そのあと、各章でそれぞれの人物視点か…

「グレート・ギャツビー」フィッツジェラルド 感想

#### 感想メモ - 第一次世界大戦後、NY- 緑色の光- お金のような声- ギャツビー視点ではなく、とらえどころのない感じの主人公の視点から物語はすすんでいく- 科学も芸術も俺たち西洋人が発明したんだとは、なかなかの台詞だ。「有色人帝国」とかね- 巻末の…

「告白」湊かなえ 感想

告白 告白、あまりなじみのない言葉だ。目次をみると、聖職者とか殉職者とかが並んでいるから、神父さんに秘密を告白するの告白なんだとわかった。愛の告白ではなく。 1ページ目から、一人の人間がずーっと話しているからびっくりした。確かに告白だ。本当に…

「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク 感想

第一章 ペリーの黒船来訪のスケールの大きいバージョンという感じ。突然現れた自分たちとは異なり、しかも文明的に優れているものに人間はどう対応するのか。敵対派もいれば、友好派もいる。ただ、武力でドカーンと攻めてくるわけではないので、不気味でもあ…

「熱源」川越 宗一 感想

軽めの本ばかり読んでいたので、ひさしぶりにちゃんとした本を読んだなぁという感じがした。ずっしり重かった。アイヌといえば、「シャーマンキング」のホロホロのイメージしかなかったけど、興味がわいた。確か東京国立博物館に展示があったと思うのでみに…

「火花」又吉直樹 感想

読みたいなと思ってはいたが、読んでいる途中に又吉の顔が浮かんできそうで避けていた。Kindle本のセールでポイントが還元されたので、ちょうどいいと思った。最初の70パーセントくらいは正直読むのがつらかった。言い回しがごちゃっとしていて、登場人物の…

「コンビニ人間」村田 沙耶香 感想

「皆口 を そろえ て 小鳥 が かわいそう だ と 言い ながら、 泣きじゃくっ てその 辺 の 花 の 茎 を 引きちぎっ て 殺し て いる。 「真っ白 な オフィス ビル の 一階 が 透明 の 水槽 の よう に なっ て いる のを 発見 し た。」 「テーブル の 上 の…