池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」 感想

資本論

適当な要約

歴史

  • 第二次世界大戦後、革命が起こってソ連や中国、ポーランドなど共産主義社会主義)の国が次々とできた
  • 資本主義の国は規制や制度をつくって労働環境をまもって労働者が革命をおこさないようにした
  • 共産主義の国は国による生産管理がうまくいかなくて、自壊した
  • 資本主義の国々で新自由主義(マーケットに任せればうまくいく)が流行した
  • 労働環境を守る規制が新自由主義のもと、なくなっていった
  • 現在、派遣切りなどの問題が起こっている

カール・マルクス(1818-1883)について

資本論(1967)について

  • 資本主義経済の仕組みを解説した本
  • 第一部はマルクス自身が書いたが、マルクスが死んだため第二部移行は親友のエンゲルス等がマルクスの残した草稿をもとに書いた
  • 共産主義や革命を支える理論として用いられることもあるが、資本主義を完全否定はしていないし、資本主義が最大限発展した後に労働者たちによって革命が起こるのだとしている
  • 実際に起きた革命は、労働者たちによるものではなく一部の知的階級の人々たちによるもので、資本主義がまだ発展していない国々で起こった(マルクスの想定していたような革命ではなかった)

商品

  • われわれの身の回りには商品があふれている。このブログを書いているパソコンも何もかも商品だ
  • 商品には使用価値と交換価値がある。
  • 使用価値とは役に立つ、人々の欲望を満たすものだということだ。コップであれば水を飲むのに使えるし、本であれば、知的欲求を満たしたり、楽しい気分になったりだとかする
  • 交換価値とは、商品は交換できるということだ。今はもうしないけど、昔だったらリンゴ10個とみかん20個みたいな物々交換がなされていた
  • 使用価値があるからこそ、交換価値がある。何の役にもたたないものなら、誰も交換してくれないだろう

労働力

  • なぜ異なる商品を交換できるのか。それは商品はみんな労働によって作られたものだからだ。リンゴであれば、種をまいたり水をやったりといった労働によって作られている。ダイヤモンドであれば鉱山にいって、掘り出す労働など。商品を作るのにかけた労働の大きさによって商品の価値が決まる
  • 労働は特殊な商品である。「使用価値自体が勝ちの源泉」

貨幣

  • 最初はみんな商品を物々交換していた。だけどリンゴは置いておいたら腐ってしまう。保存することができない。
  • なので、リンゴを保存のできる稲(日本)やきれいな貝殻(中国)、塩(ローマ)などに一旦交換しておいて、後で必要なときに別のものと交換するというやり方になった
  • 次に米や貝殻は金や銀などにとって代わられた。しかし、金や銀は重いし、持ち運びに不便だ。そのため、金に交換できる券(紙幣)が使われることになった(金本位制
  • 次第に発行した紙幣に足りる金がなくても、紙幣を発行するようになっていった
  • 第二次世界大戦後はアメリカが一番経済力が強かったので、ドルが世界のお金(決済通貨)になった。一ドル360円の固定相場制だった。
  • ベトナム戦争等でドルがばらまかれ、ドルと金の交換が停止された。変動相場性になった。紙幣は金の交換券ではなくなったが、皆が紙幣は商品と交換できるものと信用している(共同幻想)ため、お金として使われている。

資本

  • W-G-W(商品をつくる→お金にする→商品を買う)という流れだったが、そのうちG-W-G(お金で商品を買う→商品を加工する→商品を売ってお金を得る)という動きをする人たちが出現する
  • G-W-Gの動きを繰り返して、どんどんお金を増やしていく。この運動のことを資本といい、この運動をおこなっている人を資本家という
  • お金がどんどん増えていくのは買った商品をそのまま売るのではなく、商品に付加価値をつけて最初より多くのお金を得ているため
  • 付加価値をつけるものは、労働である。例えば鉄やアルミのような金属もろもろの材料を買ってきて、それを鋳造して組み立てて車にして売る。もろもろの材料を車にするのに労働が必要
  • 労働者は労働力を資本家に売り、資本家は労働者に賃金を払う。賃金は労働力の再生産に必要なお金(生活費)である。
  • 労働者の労働のうち、賃金分を「必要労働」、それ以上の分を「剰余労働」という
  • 「剰余労働」が多くなれば多くなるほど資本家はもうかる。そのため資本家は長時間労働させたり、生産性を高めたりする
  • 資本家は資本の奴隷になる

工場

  • もともとは一人だったり、家族で仕事(労働)をしていたが、皆で工場に集まって仕事をするようになった
  • 協働することによって、生産性があがるようになった

機械

  • 機械のことを「不変資本」、労働者のことを「可変資本」という
  • 機械をつかうことによって、労働を削減することができるようになる
  • 機械の値段より、削減分の労働が多い場合に資本家は機械を買う
  • 機械を買うのは労働者を楽にするためではなく、よりもうけるためである

資本主義社会の結果

  • 資本の運動でどんどん社会は豊かになっていく
  • 豊かな資本家と貧乏な労働者のような格差社会がうまれる
  • 景気が悪くなったときには、失業者が増える
  • 使える労働者を育てるために、教育が充実する
  • 機械が導入され、どんどん労働の密度が高まっていく
  • 競争のなかで資本はどんどん合併していき、巨大企業が生まれる
  • 労働者は資本家に比べて立場が弱い
  • 労働者は結託して、革命が起きる

感想メモ

  • マルクスとか「資本論」っていうと学生運動とか革命とかのイメージがあって、何か危ないものという偏見があったけれど、おもしろかった
  • なるほど上手く説明しているなという感じ(納得できない、こういう例外はどう説明するの?っていう箇所はもちろんあるけれど)
  • しかも、思ったよりずいぶん昔の本だった。1900年代の本かと思っていた。こんな昔にこれだけのことが書かれていたのかという驚きがある
  • 言われてみれば、身の回りは「商品」しかない。「商品」でないものって何だ?って探してみると、僕が保育園のころ作った紙ねんどの虎くらい。あとはゴミ箱のゴミ?自分でつくったものと価値のないものしかない
  • 自分についても考えてみる、僕は会社で働いている。つまり労働者だ。幸いいい職場だ。搾取されているという感じはしない。資本家になりたいとも思わないが、自営業には憧れる。
  • 商品は欲望のためにあるのか?ものをかうときにそこまで考えていない。なんとなくほしい、としか。
  • 商品を作り出すための直接的な労働時間だけでなく、商品を作り出すための技術を身に着けるための時間も価値には含まれているのだろうか?
  • ブランドもの、とかはどうだろう?プラダのバッグを作るのに必要な労働時間もノン・ブランドのバッグを作るのに必要な労働力も同じなのに、プラダのバッグは圧倒的に高価だ。宣伝するのとか、ブランドイメージをつくるのに必要な労働時間も価格につめこまれているということなのだろうか。
  • まぁ、でも個別の事象についてマルクスは言ってないんだろうな。社会全体の平均として、説明できるよという話なんだろう。