「八日目の蝉」角田光代 感想

  • 前半は誘拐した女の目線、後半は誘拐された子の目線の2部構成になっている
  • 前半は追われている切迫感が伝わってきて息苦しい。
  • 本当にあった事件のルポを読んでいるような感じだ
  • 小豆島には1回言ったことがあるから、何となく風景が思い浮かぶ。とはいえ2月の一番寒いころに行ったからか、この小説のような明るさはなかったかもしれない。でもどこからでも海がみえる景色、オリーブオイルと白い風車の景色が思い起こされた。
  • 僕には子どもがいないからか、母と子というテーマがあまり心に響かない。表面上はわかる気がするのだが、やっぱり芯からはわからないなぁと思う。
  • 子どものころ、田舎で川遊びをしていたときのことが思い浮かぶ。弟が足がつかない深さに溺れかけたとき、母が弟の名前を呼んで飛び込んだ。母は泳げないのに。2人でつかまりあってなんともなかったけれど、あのときの母の表情は忘れられない。必死の形相ってこういうことをいうのか、と。子どもだった僕は普段は見ないくらいの必死の顔を面白いほうに感じてしまったけれど、子どもに対する親の愛情ってああいうことをいうのかなと思う。自己を犠牲にしても助ける、みたいな。
  • ラストの情景は美しかった
  • ちょっと僕には重々しい話だった。子どもができればまた違う読み方ができるのかな、と思うけれど