ムサビ通信 日本画Ⅰ スクーリング 感想
8/4(初日)
日本画のスクーリングだった。
鷹の台のキャンパスへ来るのは一年ぶりだ。
久しぶりに朝早くに起きて、混んでいる電車に乗った。
先生は造形基礎2のときの先生だった。一年以上前だからおそらく覚えていないだろうが。
最近全然描いていなかったから、絵を描くのも久しぶりだった。
てっぽうゆり、という白い花をデッサンする。
画材を買いに世界堂に行ったら、花を選ぶのが最後でほとんどつぼみの花しか残っていなかった。でも、たくさん咲いているより好みだ。
よくよく観察すると、てっぽうゆりの花びらは分厚くてレタスのようにしゃきしゃきしている。太い茎や真緑の葉っぱには華奢というよりは、力強さが感じられる。
メシベは触ってみるとネトネトとしていて、気持ち悪い。オシベにはたっぷりと黄色い花粉がついている。
花の美しさよりは、生々しさを描きたいと思った。いつものデッサンとは違ってかなり輪郭線を意識して描いた。
8/5(2日目)
デッサンはほぼ終わって、トレーシングペーパーと念紙を使って、輪郭線の転写をした。
作業だが、集中力がいる。
講義もあった。日本画の用語はまず読み方がわからない。白と書いてびゃくと読んだり、雲肌麻紙(くもはだまし)という紙を使う。
他にも両とか番目とか、昔の単位がでてくる。
8/6(3日目)
骨描き、膠を溶かして、胡粉団子をつくって、彩色に入った。
骨描きは、鉄線描という一定の太さで行うやり方だが、難しい。でもすっと線がひけたときはとてもきもちがいい。
三千本膠という棒状の膠を折って、70ccの水に浸しておく。それから湯煎して、膠を溶かす。途中で少しかき混ぜてやる。犬の臭いをもっと強烈にしたような獣臭がする。今まで嗅いだことのない臭いだ。
胡粉は細かく砕いて、少しずつ膠を加える。だんだんまとまってくるので、それを団子にする。団子にしたら棒状にして、また団子にする。団子を何度も絵皿に叩きつける。この工程は百叩きというおもしろい名前がついている。絵皿の片口まで、お湯を注いで灰汁抜きをする。1分ほど待ったら、お湯を捨てる。それから、水に溶かしていく。乳白色の片栗粉液のような液ができる。
水干絵具も胡粉と同じようにつくる。ただし団子にする必要はない。絵具に膠を加えた後水に溶かすだけだ。
骨描きまでは気持ちよくかけていたけれど、彩色が難しい。水少なめで描いてみたけれど、完全に不透明でせっかく描いた骨描きがほとんど見えなくなってしまった。水彩のように描くのがいいのだろうか。そういえば、洋画に比べて日本画はあまり観た覚えがない。興味がなかったからだ。自分で描いてみると、とてもおもしろくみえる。
8/7(4日目)
今日から先生が変わった。
なんとなく日本画ってきっちり、丁寧なイメージがあったけれどそんなことはないみたいだ。画面に絵具をぶちまけたりしても大丈夫らしい。刷毛や筆ではなく、適当に絵具を置いて傾けると自然に絵具が垂れたりにじんだりしてキレイになる。
あとは、筆で描くのがおもしろい。油絵は絵具も筆ももっとかたくて、重い感じだけど、日本画は筆は柔らかくて、絵具もサラサラしていて軽い。感触が全然違っておもしろい。
天然の絵具はお玉に入れて、コンロであぶると酸化して色がくすんでいく。人工の絵具も色が変わるけれど、石油が入っていて有害ガスが発生するから焼いちゃダメとのこと。先生が試しに焼いて見せてくれたが、確かに有毒な感じのする臭いがした。
8/8(5日目)
彩色のつづき。たぶんこれは日本画ではない。周りの人のをみていると、水彩画みたいにたっぷりと水を使って描くのが日本画なんだろう。アクリルとか油彩の感覚でべったりと塗ってしまったから、何か違うものになっている。べったり塗った下地が効きすぎていて、上から水の多い絵具をぬってもほとんど反映されないし困ってしまった。開き直ってもう好きにするしかないなぁという感じだ。もう一回最初から描きたい。
8/10(最終日)
最終日。開き直って楽しく描けた。
講評は以下の通り
・画面の下半分がさびしいのでバックに何か工夫が必要
・上辺がギリギリなので押しつぶされているような感じがする、もう少し余白が必要
・5日目の段階からよくまとめた
・陰色をつけるのではなく、光部分とは違う色を使ってみれば
・これからも日本画描いてみるといい
制作途中はこころが挫けてしまいそうだったけれど、とりあえず最後まで描けてよかった。
つぎはもっと薄塗りにしてみたいし、岩絵具もためしてみたい。
感想
・日本画何も知らなかったけれど、とりあえず基本的な道具や絵の具の使い方がわかった。絵具を作ったり、やったことのないことが多くて一人で初めていたらきっと途中で挫折していただろうと思う。これで、とりあえず日本画を描くことができる
・水彩系の絵具を使ったことがなかったので、これも何もかも初めてでいい経験になった
・右手の人差し指が今も緑色に染まっている
・日本画の絵具の混色は独特だ。例えば、油絵具なら黄と紫を混ぜたら補色だからグレーっぽい色になるけれど、日本画はこういう法則通りにならないことがある。(粒子の大きさの違い?によるらしい)
・濡れ色と乾いたときの色が違うのもやっかい。乾いてみてこんな色なの?となることが多々ある
・塗った絵具を水でぼかしたり、水を塗ってから絵具を置いたりする。このぼかしも不確定な感じでどうなるかわからない。だからこそキレイだというのもある。
・描く対象のそのものの色を塗るのではなく、画面の中でそれらしく見える色を探すこと