「ある男」平野啓一郎 感想

  • おもしろくて一晩で読んでしまった。前に同じ作者の何かを読んだときは、小難しくて読むのをやめてしまったが、これは読みやすかった
  • ある男は本当は誰なのかを探す話。「本当」といっても妻は会って、結婚して、子どもも産んでいるので、本当も何もないのかもしれない。ただ、男の本名と過去に何をしていたかを知るために弁護士に調査してもらう。この弁護士が一応の主人公で進んでいく。
  • 東日本大震災は直接的、物理的にだけでなく、いろいろな人の精神に影響しているのだなぁと思った。僕はあのころ大学生で関西にいて、距離が遠かったのと自分のことしか見てなかったから、ニュースの1つでしかなかった。少し前に津波で街がのまれる映像をYOUTUBEか何かでみて、確かに恐ろしいとは感じたけれど。
  • 衒学臭いって、作者も言われたことがあるんだろうな、となんとなく思った
  • 文章がかっちりしているというか、理路整然とした建築物みたいで、好みではない。でも内容が本当に面白かった
  • 美鈴は、大介に10年ぶりに会ってどうなったんだろうか。書かれないまま終わってしまった
  • 誰かに成り代わる。僕は一度もそんなこと考えたことなかった。けっこう自分に愛着がある。役者とかは常にそんな感じなんだろうか。確かに想像してみると少しワクワクする。